おかしみ日記

おかしみは、スパイス。

読書とリズム

●今日は金曜日。今日一日をがんばれば、土日が待っています。さあ今日も一日がんばるぞと思うわけですが、1週間って大まかな気分の流れみたいものを持っていますよね。月曜日はブルーマンデーって言われるように、会社に行くのが億劫に感じられたり、火曜日は「まだ火曜日か」と思ったり。水曜を乗り切って木曜日に入ると「もうすぐ週末」と気持ちが一気に傾いていったり。
●そうした気分的な変化の流れの中で、本を毎日読んでいるわけですが、その日に読みたい本も、気分に合わせて変えたくなることはありませんか。ぼくはよくあります。たとえば電車の中で何を読むか。月曜、火曜はビジネス書をがしがし読んで会社に向かう自分を景気づけたりするし、木曜になるとなぜかもっと柔らかいもの、小説とかが読みたくなったり。行きと帰りの電車の中で読みたい本も異なったりします。
●意識して振り返ってみると、読書というのはそのときそのときの気分にけっこう左右されているもの。そうした気分の流れも含めて読書というのはあるものだし、自分のコンディションと対話しながら本を選んで読んでいくのもまた読書の楽しさなんだと改めて思います。本と私の関係はとても奥深いと思うのです。
●そんなことに思いがいたったのは、松岡正剛さんの『多読術』という本を読んだから。松岡さんならではの本との多様なつきあい方がこれでもかと紹介されていて、ハッとさせられることが多々ありました。タイトルから「本を速く、たくさん読む」ための方法が書かれていると期待するかもしれませんが、さにあらず。読書を楽しむとはどういうことか、本とは何か、松岡さんへのインタビューを通じて、浮かび上がってきます。本への興味、読書のもつ多様な意味を知ることによって、本とのつきあい方に新しい視点をもたらしてくれる。本が、読書が、ますます好きになる。その結果として、いつの間にか本がたくさん読めるようになってくる。読書に「効率」や「即効性」を求めて疲れてしまった人には、一服の清涼剤になること間違いなしの一冊です。新書ですし、インタビューなので読みやすい。ぜひ一度手にとってみてください。

多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)

(目次)
第一章 多読・少読・広読・狭読
第二章 多様性を育てていく
第三章 読書の方法をさぐる
第四章 読書することは編集すること
第五章 自分に合った読書スタイル
第六章 キーブックを選ぶ
第七章 読書の未来