おかしみ日記

おかしみは、スパイス。

そういえば本の読み方なんて習わなかったな。

●みなさんはいつ、どこで、どんなふうに本を読みますか? 友人や職場の人たちと本の話題で盛り上がることはあるけれど、そういえば、みんながふだん、どのように本と接しているのか、についてはお互いまったく知らないなあ、と思いました。

●みんなの読書方法については今度ぜひ質問してみることにしますが、そんなことを考えたのは、永江朗さんの『恥ずかしい読書』を読んだからでした。永江さんは「エロから哲学まで」幅広いジャンルで文書を書いているライターさん。もちろんふだんから大量の本を読んでいます。そんな永江さんが自分の読書について明らかにしたのがこの本です。「本書は、本についての本というよりも、本を読むことについての本、本の読み方についての本である。」とまえがきに書いているとおり。しかし、その読み方が尋常ではなく面白いのです。

●永江さんの読書スタイルを挙げてみます。

  • 本を買って帰ると裸にする。(「裸にした表紙がきれいな本だと、とてもうれしい」)
  • 季節に合わせた読書をする。(「たとえば冬になったらドストエフスキーが読みたくなり、夏にはヘミングウェイを読んだ」)
  • 歯磨きをする間は、難解な哲学書を読む。(「難解な哲学書を読み続ける限界の時間が二十分から三十分ぐらいだとすると、ちょうど歯磨きの時間にぴったりだ」)
  • 特定のワードを検索しながら官能小説を読む。(「コンピュータが検索するように、特定の言葉だけ拾って本を読むのである。いくつかのジャンルで試してみたが、官能小説(いわゆるポルノ小説)にぴったりだということがわかった」)
  • 検索読書(略してケンドク)を哲学書を読むのに応用する。(「マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(大塚久雄訳、岩波文庫)を「禁欲」、「職業」、「ピュウリタン」というキーワードで読めば、この本の全体をつかめる」)
  • 外出するときも常に本を持ち歩く。細切れ時間で読む。(「小説なら短篇集、エッセイなら雑誌に連載された短いものがいい」)

などなど。

●面白いのは、永江さんが常に同時並行で何冊もの本を読んでいる点です。1日の中でも、歯磨きをするときに読む本、夜ベッドに入ってから読む本、散歩に出かけるときに読む本…、1冊買ったら読み終わるまで他の本は読まない、というのとはちがって何だか本とのつきあい方が豊かになる気がしました。他にもたくさんの永江式読書術が紹介されていて、そのどれもが面白いので真似したくなること間違いなし。たとえば速読術に嫌気がさしたら、ポルノ小説の検索読書なんていかがでしょうか?

恥ずかしい読書

恥ずかしい読書

(目次)
第一回 歯磨き読書
第二回 強化年間
第三回 本に線を引く
第四回 年表と地図を手元に置いて
第五回 本を裸にする
第六回 写しながら読む
第七回 トイレと読書
第八回 本を逆さに読んでみる
第九回 東京ブックトリップ
第十回 散歩と読書
第十一回 本をよく読む本屋、本を読まない本屋
第十二回 キーワード的官能と哲学
第十三回 書店は変わる
第十四回 本を汚す、本を捨てる
第十五回 スクラップ考
第十六回 手紙と読書
第十七回 本に密着する
第十八回 学校の図書室